一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
大弐三位
歌
有馬山猪名の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする
現代語訳
有馬山から猪名の笹原にかけて風が吹いたのでそよそよと音がする、さあ、それよ、あなたのことをどうして私が忘れるのですか。
出典
後拾遺集 恋二 709
決まり字
ありま
この日の矢島聖蘭クイーン(以下、矢島)には、去年クイーン位をつかんだ試合でみせた「スマイル」は最後までほとんど見られなかった。しかし同会の先輩にあたる西牧美渚挑戦者(以下、西牧)のかるたを研究しつくしたかのような取りで初防衛に挑んだ。
対する西牧はA級優勝をするために去年2月に再構築した「右攻めと両立できる自陣左を守るかるた」で「練習でも勝ったことがない」同会の後輩に挑んだ。
会場の近江勧学館浦安の間は、回は異なるが2人にとって仲間とともに「高校団体日本一」をつかんだ良き想い出と記憶がある縁起の良い場所だ。「かるた女性日本一」を決めるクイーン位決定戦で、神様はどちらに微笑むのだろうか。
★1回戦
前半
西牧陣の左側には序歌の時点で19枚の札が並んだ。場にある50枚のうち4割近い札が集まる「西牧陣左側」をどちらがどう取るかが勝敗を分けるといっても過言ではなかろう。
「1回戦は緊張していた」と試合後に語った矢島だが、最初の1しらは、西牧陣左上段に、3やえを西牧陣左下段に攻め取る2連取でスタート。「S音の感じは速い」(解説の粂原元名人)と評される25すからの三連取で29枚を読んだ時点で矢島が16-20と4枚のリード。一方、「緊張はしたが雰囲気にのまれてはいなかった。楽しくとれた」と試合後に語った西牧も30あしからの3連取で17-16と追い上げるが、矢島は2連取さらに3連取と連取を重ね、50あまつを西牧陣左下段に攻めれば試合は10-13と矢島の3枚リードで折り返す。
後半
西牧は65かぜそで準ダブルになるこの日初めてのお手つき。「きちんと相手の右を攻めていればよかった。守りの意識が強く弱気だった」(試合後談)と振り返るこのミスで5-10と矢島にこの試合で最大のリードを許してしまう。西牧はその後、72みかき、73なにはえと矢島陣の右、左に攻めるなど挑戦者にふさわしい取りをみせ7-3とついていくが、ここで生命線の「右攻め&自陣左守り」にまた甘さが出る。敵陣右下段の76いまこ(1字ぎまり)を攻めきれずに矢島に守られ、次に読まれた自陣左上段の77たまを矢島にうまく攻められて1–7。78かぜをも矢島に速く攻め取られこのゲームを失う。
矢島は感じの速さ。そして「現役有力選手では一番低い」(粂原元名人評)手をすっと伸ばして取る敵陣左への攻めで勝敗を分ける西牧陣左側を攻略。要所を確実にとって7枚差で初戦を制した。
一方、去年11月の挑戦者決定戦ではお手つきが目立った西牧だが、この試合前半はノーミスで明らかな成長が感じられた。しかし矢島のスピードが上回った。
◯矢島聖蘭クイーン 7枚 ●西牧美渚六段(対戦成績 矢島1勝 西牧0勝)
★2回戦
「1回戦で負けてメンタルが持ち直さないまま試合に入ってしまった。2試合目の結果がもう少し良かったら3回戦の結果も変わったのではないか」と全試合終了後、記者団の取材に西牧が答えた2回戦。
取り出しは矢島ペース。西牧も攻守にこの場に臨む選手にふさわしい攻めや守りをみせるが、矢島は9もろ、10あはじ、14はるすと西牧が主戦場にしたい「自陣左とは逆」の右側でキープするなど、スキのない取りで15枚を終えて18-23と5枚のリードを奪う。矢島は17しのの時に自陣のしらを払うお手つきをするが、西牧陣左上段にある次の出札19よもを低い手を伸ばして取り、続く20あひは自陣をケアしながら西牧陣左下段に攻めてあっという間にリカバー。相手に試合の流れを渡さなかったこの局面で西牧が21ひさでお手つき(準ダブル)。次の22たかを西牧は攻めきれず、矢島が自陣右下段で守って14-23。この時点でこの試合の勝負は決まった。西牧はそのあと3連取するが、2度のお手つきもして挽回できない。淡々と攻守に速い取りを続ける矢島が17枚差で連勝。クイーン位初防衛にあと1勝とした。
◯矢島聖蘭クイーン 17枚 ●西牧美渚六段(対戦成績 矢島2勝 西牧0勝)
★3回戦
序盤
クイーン位獲得にはもう1試合も落とせなくなった挑戦者の西牧が5あはれを矢島陣の左上段で攻め取ってスタート。空札3枚のあとの次の出札9あさぼらけうを西牧は鋭く攻め取ると、この時矢島がお手つき(ダブル)。22-26と西牧が4枚のリードを奪う。
しかし西牧は21-23の2枚リードで迎えた21いにの時に自陣右中段のいまこをさわる。YouTubeで楠木早紀永世クイーンが「(西牧さんは)お手をさせられている」と解説した矢島の強烈な右攻めが西牧のお手つきを誘い22枚セームとなる。矢島はその次の札23うかを右攻め。さらに24ひともを攻め、25あさじを自陣左上段で守って19-22と3枚のリードを奪い序盤を終える。
中盤
18-12と矢島に6枚のリードを許した西牧は、42きみがためをを自陣左上段で絶妙のおさえでキープすると、続く43はるすも得意とする自陣左下段で、44むを右攻め、45たちは敵陣左中段に手を伸ばして攻め取り14-12と2枚差まで詰め寄る。ここで矢島が47つくの時に自陣のつきにさわるお手つきすると西牧は13枚セームに追いつく。逆転をうかがう西牧に対し、矢島は11-12の1枚リードの場面で56しのでお手つきし西牧に逆転を許す。試合後矢島は「自分がお手つきをして追いつかれ、そのまま終盤に流れていったので苦しかった」と語ったが、矢島はお手つきした次の出札を必ず取って相手に流れを渡していない。ここでも57あまのを西牧陣左下段に手を伸ばして攻め取り、59たき、61すを右に攻め取れば9-11。ここでもミスのあとのリカバリーを確実にしてラストスパートに入る。
終盤
矢島は68あまつの左攻めを皮切りに攻守に7連取して一気に抜け出し、最後は82おぐを西牧陣の左に決めて9枚差で勝利。ストレートで同会の先輩西牧を下してクイーン位初防衛を達成。進学先の慶應かるた会に移籍して初めてのクイーン位獲得でもあり、慶應かるた会としては第20期の吉田(金山)真樹子クイーン以来半世紀ぶりのクイーン誕生となった。
閉会式の講評で西郷直樹永世名人は矢島クイーンに「去年の苦しい試合を勝ち抜いたことが力になっていると思う。もっと強くなってほしい」と期待を述べている。
◯矢島聖蘭クイーン 9枚 ●西牧美渚六段(対戦成績 矢島3勝 西牧0勝)
【試合後の両選手の声・全試合終了後記者団の囲み取材】
★勝って初防衛を果たした矢島聖蘭クイーン
ほんとうにうれしいの一言です。大学生になったので落ち着かなければいけないと思っていて、ここで変わった自分をみせようと頑張った。相手陣の左を必ずぬかなければ試合が始まらないと思ったのでいつもより意識を強めにして、なおかつ自陣の定位置反応は落ちないように暗記をまわしていた。「同会対決」はとてもやりづらかったけれど相手を気にしないようにした。西牧さんを倒してクイーンになるというより、去年の自分を超えてクイーンになると言い聞かせていた。難しいといわれていた初防衛ができたのでクイーン位を守り続けたいし、西牧さんも慶應なので慶應かるた会を強くして、かるた界全体を盛り上げていきたい」
★敗れた西牧美渚挑戦者
実力が足りなかった。課題もすごく見えた。このかるたを始めてまだ1年なので磨くこと。矢島クイーンに対策された私より早く左に先に手を出された時に、自分がどうしなければいけないのかを考えてまた練習していきたい。来年も絶対にこの舞台に立てるようにしたい。
以上