一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
清原元輔
歌
契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは
現代語訳
約束しましたよね。お互いに涙でぬれた袖をしぼりながら、あの「末の松山」を波が越えないように、決して心変わりはしまいと。
出典
後拾遺集 恋四 770
決まり字
ちぎりき
第72期名人位・第70期クイーン位決定戦は1月11日(日)滋賀県大津市の近江勧学館で開催され、名人位決定戦は挑戦者の川瀬将義八段(三島せせらぎ会・31歳)が自見壮二朗名人(九州大学かるた会・24歳)を3-1で破り、4度目の名人位を獲得した。
一方、クイーン位決定戦は、矢島聖蘭クイーン(慶應かるた会・19歳)が、クイーン位初挑戦の西牧美渚六段(慶應かるた会・24歳)との同会対決を3-0のストレートで下して、クイーン位初防衛に成功した。
穏やかな空模様の中、松川英夫会長はじめ4選手や役員が近江神宮本殿に参拝後、いよいよ熱戦の火ぶたがきって落とされた。
いずれも5本勝負で、先に3勝した方が名人位・クイーン位のタイトルを手にするが、決戦前夜の開会式を「体調不良」で欠席した川瀬挑戦者のコンディションが注目された。
【名人位決定戦】
★1回戦
午前9時50分。楠田専任読手が序歌を読んでスタート。初戦の序盤は両者とも三連取を許さない攻めと守りで拮抗。20枚を読んで20枚セームと拮抗。川瀬は24なにしから攻守に3連取するなどして14-18と抜け出しにかかるが、34あさぼらけうでお手つきを喫すると自見が6連取して11-15と逆転。自見はそのあとも自陣を中心に着実に札を減らし8枚差で勝ち。YouTubeのライブ配信で粂原元名人が「いつもの川瀬選手ではない」と評した出来も利して自見名人が先勝した。
○自見壮二朗名人 8枚 ●川瀬将義八段 (対戦成績 自見1勝、川瀬0勝)
★2回戦
名人位奪還をめざす挑戦者の川瀬にスイッチが入った2回戦。川瀬は23-22の1枚ビハインドから9もろの鋭い攻めなどで5連取。さらに2度の2連取で25枚を読んで13-19と6枚のリードを奪う。ここで自見が28はなのでお手をすると川瀬は、33あきかから空札をはさみながらの3連取で8-19と大きなリードを奪う。
自見は、ここから反撃開始。46これを自陣左中段でしっかりと押さえ、13-9と一気に4枚差に迫る。しかしここで、自見は、51なにしで痛恨のセミダブ。自らのお手付きで流れを川瀬に手渡す。
川瀬はここから自見に3連取を一度も許すことなく7枚差で逃げ切り、対戦成績を1勝1敗とした。
●自見壮二朗名人 7枚 ○川瀬将義八段 (対戦成績 自見1勝 川瀬1勝)
★3回戦
2回戦同様、本来の取りを取り戻した川瀬と、お手つきはあるものの随所に名人らしい早い取りをみせる自見の「攻め合い」と「しのぎあい」で序盤は差がつかない。川瀬は21-20の1枚ビハインドから18いまは、19これ、20なにはがと3枚立て続けに攻め取って18-20と抜け出しにかかる。このあと川瀬はお手つき(ダブル)をするが、後を追うように自見がお手つき(ダブル)をすると流れは川瀬に移る。14-18から川瀬はまず2連取、さらに3連取してじわりと自見を引き離しにかかる。12-4と劣勢の自見は終盤70あらしから4連取するなどして追い上げるが、最終盤5-3から85みせでお手つき(準ダブル)をして勝負あり。川瀬が5枚差で勝って名人位奪還に王手をかけた。
●自見壮二朗名人 5枚 ○川瀬将義八段 (対戦成績 自見1勝 川瀬2勝)
★4回戦
[序盤]
閉会式で川瀬健男元名人が「私たちも手に汗にぎった。いい勝負だった」と評した4回戦。お手つきは60枚目を過ぎて両者1回ずつ。それまでは両者とも研究しつくした相手に対してよく攻め、相手をしのぐ守りを披露するナイスゲームだった。
序盤はこの試合を落とすと名人位を失う自見のペースで始まる。9ももから3連取、さらに2度連取して序盤は3~4枚のリードを保つ。直前の2試合に比べると川瀬陣によく手を飛ばし、「自見名人対策」として低い手をくりだす川瀬の手とぶつかる場面もあった。
[中盤]
中盤は両者の圧巻の取りが続いた。14-17から自見リードで自見が34なにしを攻めれば、川瀬は37かぜそ、38ちぎりき、42たちと猛攻。39やえ、41こぬを自見が自陣の右、左ですばやく守れば、40おくは川瀬が自陣でキープし1~2枚差のシーソーゲームが続く。この中盤から終盤について川瀬は試合後「序盤おされている展開でも気持ちはついていくことができていたので、『まだなんとかいける』と落ちついて取れたことが大きい。途中自見さんのお手つきでチャンスを頂いてからは自分のペースでとることができたれた」とふりかえっている。
[終盤]
終盤に入っても接戦は続く。7枚セームから川瀬が68ながら、72なにはが(4字)とキープすれば、前の試合で右腕の肩を痛めた自見も、73このを右上段で守り、続く74むを右下段に攻めて5枚セームに追いつく。ここで、川瀬は、自陣左下段に4枚を配置。自陣左下段を中心に終盤戦を組み立てていく。
5-5からの出札は自見の右中段の75いに、これを川瀬は、左下段をケアしながら、得意の突き手で抜き去る。さらに川瀬は、80おおえをその左下段で素早くキープ。3-5と川瀬の2枚リード。自見も川瀬の左下段83ふを渾身の払い手で4-3と1枚差につく。川瀬は、すかさず自陣左下段で1字決まりの86きみがためはをしっかりとキープ。これを取りたかったのか自見には悔しそうな表情が浮かぶ。川瀬は、右下段の「しら」を左下段に変え、2枚左下段に寄せる。なんとか追いつきたい自見は、川瀬陣の左下段に狙いを定めつつ、自陣上段中央に「おぐ」を浮かせる。その88おぐが出ると、お互い左下段に手を出しながら、一瞬早く川瀬が方向転換し、88おぐを押さえ、ついに川瀬が、1-4と名人位に王手をかける。次の札89みかきで、川瀬は自見右中段を払い勝負あったかと思えた瞬間、これがなんとお手付き。一気に試合の行方は混沌とする。自見、3-2から川瀬左下段の89ひさにかろうじて入り、ついに2-2と追いつく。運命戦も予想されたが、川瀬はここから左下段の94みち、95はるのを続けて守って2枚差で勝利。1年前に名人位を奪われた相手から名人位を奪い返した。
名人位を奪還すべく、1年間続けてきた精進が見事に花開いた瞬間であった。
去年の閉会式の講評で師匠の西郷直樹永世名人は敗れた川瀬名人(当時)に「目標は永世名人で変わらないと思うので『自ら険しい道のりの通算7期を選んだ』と、あとで振り返った時に思える日がくるようこれから益々頑張って欲しい」と激励したが、川瀬は見事1年で4期目の名人位を奪還。永世名人へのカウントダウンが始まった。
●自見壮二朗名人 2枚 ○川瀬将義八段 (対戦成績 自見1勝 川瀬3勝)
【試合後の両選手の声 4回戦終了後。記者団の囲みで】
★勝利した川瀬将義第72期名人
ちょっと信じられないような気持ちでいる。今シーズンは正直、迷走していてあまりうまくいってなかった。年末からは体調を崩してもいた。何で勝ったのだろうと思う部分はあるし、(いまの自分が名人にふさわしいか)ちょっと考えたりもする。2回戦以降は去年の名人戦でできていなかったことを出せたので、それを今日だけにしないようにしないと、と思っている。それができたらまたふさわしく戦えると思う。
★敗れた自見壮二朗第71期名人
体調はベストコンディションではなかったが取れていた。自分の中では去年と変わらず戦いに臨むことができていたが、外から「初防衛、初防衛」と言われるのでプレッシャーは多少あった。何度も戦っている相手で、やってくることも考えていることもわかっていたが、力を出し切れなかった。
(Q来年については?)
今はいっぱい、いっぱいですが、ここに戻ってくるしかないので…
以上