第61回全日本選手権の見どころ

2022.04.23
作成者: 審判長 西郷 直樹

【全日本選手権について】
全日本選手権が他のタイトル戦と大きく異なる点として、出場人数枠が多いということが挙げられる。名人戦・クイーン戦がその年の一番強い男性選手、女性選手を決める大会であるのに対して、より多くの選手に出場チャンスが与えられる全日本選手権は、大会開催時点で最も強い選手を決める大会と言えるだろう。
新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった今大会は、64名の出場枠が設定され、名人、準名人、クイーン、準クイーン、前回優勝者の5名がシード選手として選抜された。また、全国をエリアで分割した9つの支部から、支部長の推薦によって出場できる枠が新たに設けられた。これにより過去のポイントや段位に限らず、現時点で実力や勢いのある、特に若手選手に出場チャンスが与えられることになった。その結果、シード選手5名、支部長推薦枠での出場選手22名、ポイントと高段位者から37名、合計64名の出場選手が決定した。

【見どころ】
本大会はトーナメント形式で開催されるため、優勝するためには6試合を勝ち抜かなければならい。実力はもちろんだが、6試合を戦う体力と気力が必要不可欠となる。コロナ禍で同規模の大会がほとんど開催されてこなかったことを考えると、体力的には若手選手が有利と見ることもできるが、試合勘が鈍っている選手が多い可能性はある。
その一方で上位5名のシード選手である川瀬(三島せせらぎ)、粂原(京都大学)、山添(京都小倉)、矢野(東京東)は名人戦、クイーン戦を戦い抜き、そしてこの全日本選手権の前回大会優勝者でもある山下(東京明静)は各選手の対戦相手を務めるなど、勝負に拘った練習を積んでいる。そしてちはやふる小倉山杯に出場した、自見(福岡)、荒川(京都小倉)、三好(福井渚)を加えた8名が頭一つ抜け、優勝争いに大きく関わってくるだろう。
ポイントや段位では出場することができなかった支部長推薦枠の選手では、並河(早稲田大学)が昨年11月の東京吉野会大会で初優勝を遂げ、小川(栃木県高文連)は1月の新春大会で優勝しており、6試合戦い抜く実力と体力を兼ね備えている。成長著しい活躍を見せてくれることを期待したい。
また、川上(大阪暁)、高洲(信州)、寺嶋(福井渚)といったベテラン選手も、十分に上位選手と戦える実力があり、対戦相手次第では面白い試合を見せてくれるはずである。
最後に注目している選手として、藤岡(東京大学)、島村(白鷗)を紹介したい。両者ともに集中力が非常に高い選手であり、上位選手といえども気を抜けば足元をすくわれるだろう。
名前を挙げなかった選手に関しても、相当な実力を有していることは確かであり、新たなヒーローやヒロインが誕生する可能性もある。
そういった状況から、実力、そして体力と気力、さらには試合勘などを総合的に考えると、本命はクイーン位の防衛を果たし、ちはやふる小倉山杯でも見事優勝した山添クイーンだろう。そして対抗には、安定した強さを見せ今度こそトップを狙う自見選手を挙げたい。両選手ともに体力を温存しつつ巧みな戦い方ができるかどうかが鍵となることは間違いない。いずれにせよ当日の組み合わせ抽選次第では、初戦から名人対クイーンという可能性もあり、目が離せない大会となる。