一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
順徳院
歌
ももしきや古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり
現代語訳
宮中の古い軒端に生えているしのぶ草を見るにつけ、やはりしのび尽くせぬ昔であったよ。
出典
続後撰集 雑下 1205
決まり字
もも
新年1月10日 川瀬・西牧が名人・クイーンに挑む
小倉百人一首競技かるたの第72回名人位・第70回クイーン位挑戦者決定戦は2025年11月16日、東京都文京区のかるた記念大塚会館で行われた。
名人位戦挑戦者決定戦では、西日本代表の川瀬将義八段(三島せせらぎ会)が東日本代表の田中雅貴六段(千葉漣かるた会)に勝利し、一方、クイーン位挑戦者決定戦では、東日本代表の西牧美渚六段(慶應かるた会)が西日本代表の中島莉衣瑠五段に勝利し、それぞれ挑戦者が決定した。
川瀬は名人位奪還をかけて、西牧は初のクイーン位獲得をかけて、2026年1月10日近江神宮の畳に上がる。いずれもフルセットの熱戦を戦い抜いた4選手の健闘を心から称えたい(敬称略)。
【名人位挑戦者決定戦】
1回戦
田中雅貴 六段(千葉漣かるた会) 〇 9 × 川瀬将義 八段(三島せせらぎ会)
2025年1月、名人位を失冠した川瀬は、この1年、名人位奪還を目標にひたすらに自己のかるたを見つめ直してきた。まずは、名人位への挑戦権を獲得すべく、この戦いに臨む。
一方の田中は、山口県出身で師匠は往年の名選手で久保久美子永世クイーンの盟友でもある友田瑞恵六段。この1年で着実に実力をつけ、前名人の川瀬に挑む。
初戦の幕開け、田中は、強烈な相手陣右側への攻めと固い守りで、川瀬と序盤から堂々と渡り合い、30枚を終えて19枚セーム。
中盤に入ると出札は川瀬の陣に偏り、田中は序盤の勢いそのままに35「この」から攻めて5連取し抜け出す。そして49「あまつ」を自陣でキープすれば川瀬相手に11-18と7枚のリードを奪う。
一方川瀬は、終盤に入り持ち味の攻めで応戦し、また、田中の強烈な攻めをしのぐ守りもみせるが、なかなか連取ができず波にのれない。
「対戦相手の研究に熱心」とされる田中は攻守に切れ味の良い速い取りをみせ9枚差で先勝。名人位挑戦者に王手をかけた。
2回戦
田中雅貴 六段(千葉漣かるた会) × 10 〇 川瀬将義 八段(三島せせらぎ会)
名人位挑戦者の座に後がなくなった川瀬だが、2回戦は、本来のかるたを取り戻し、試合頭からリードを奪う。持ち前の敵陣への強烈な攻めとともに田中六段の速い攻めを上回る守りもみせて30枚の時点で12-19と7枚のリードを奪う。更に川瀬は、43「ちは」から4連取し、川瀬の一人舞台かと思えたが、ここから田中も必死に追いすがる。51「あらざ」から攻守に4連取し、終盤を前に7-12と差をつめる。
ここで川瀬は動じない。ここから一気に札を減らし、3-11から「かぜそ」を左下段でキープすると、残した2枚を自陣右下段に固め、最後は「ながら」、「なにし」を強い右攻めで奪取し、10枚差で勝利。対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込み、挑戦者決定戦は最終戦へともつれ込んだ。
3回戦
田中雅貴 六段(千葉漣かるた会) × 5 〇 川瀬将義 八段(三島せせらぎ会)
挑戦者を決める最後の試合は名人位奪還をめざす川瀬の連取で幕を開けるが、田中も速い攻めと守りで3連取するなど序盤は24枚時点で18枚セームとがっぷり四つの戦い。
ここで抜け出したのは川瀬。28「やえ」を田中の攻めを超える守りでキープする。そして29「あきか」・30「あまつ」と攻めると田中が32「わすれ」でお手つき。川瀬はすかさず次の33「きり」も攻めて13-18と5枚のリードを奪う。
一方、田中は、川瀬の46「ゆら」のお手つきを機に攻守に3連取して13-11と追い上げれば、初めての名人位戦の舞台へ夢をつなぐ。
このあとも両者のスピードに乗った取りは続くが、川瀬は64「さ」を圧巻の攻めで、ギアを上げる。続く65「こころに」をうまく守れば、10-4と6枚のリードを奪い、「ひさ」、「ふ」の連取で2-9と勝負を決めにかかる。ここで、田中は、自陣75「め」の守りから3連取し、最後の粘りを見せる。
しかし、川瀬は、追いすがる田中を落ち着いた取りで、最後は、敵陣右下段に87「ありま」をきっちりと攻めて5枚差の勝利。今回挑戦者決定戦の舞台に立った4人のうち唯一この場を経験していた川瀬は、1回戦はもたついたものの、2回戦以降は危なげなく田中を退け、念願の名人位奪還へ向け、まずは、挑戦者決定戦を勝ち抜いた。